神経の再治療の方法


近所の歯科医院で神経を取ったのに

まだ痛い歯があります。

 

また、他にもかなり前に神経を

取られたのにうずく歯もあります。

 

素人考えでは神経を取ったら

痛くなるなるのが普通だと思うのですが、

なぜ、このような状態になるのでしょうか?

 

もし、治療の方法が悪くてこのように

なっているとしたらちゃんとした

再治療を受けることができずに、

このままにしておいたら将来は、

どうなるなるのでしょうか?

 

麻田ケリー

結論:

 

神経を取った歯が疼くのは

治療に失敗しているからです。

 

アメリカ歯科標準治療の

神経の治療のような治る治療

をされない場合、

病巣が大きくなり激痛を

伴うようになるので、

最終的には抜かれてしまいます。

 

幸いなことに

神経を取る治療方法は

確立されており

素人にもわかるくらい

簡単な方法です。

 

神経の治療は細かな作業が多いので

アメリカでは

手先が器用でない人は

専門医にはなれないとされます。

説明:

 

神経を取ったはずなのに、

痛くなると言う原因は、

アメリカ歯科標準治療が

理想になっているアメリカでは、

ほとんど聞かない現象ですが、

日本では日常的にどこにでもあるお話です。

 

一言でその理由を述べると、

日本では、神経を完全に取り、

その後の処理を的確に行っていない!

ということになります。

 

要するに、治療の方法が不適切なわけです。

 

アメリカ歯科標準治療では

神経の治療を

RCT(Root Canal Therapy)

と呼んでいます。

 

神経を取った後、

一生痛みとは縁のない治療に不可欠なことは、

 

1)ラバーダムをする(細菌感染防止のため)↓

画像:↑神経を抜いた歯がうずいてたり激痛に襲われる理由と治療方法 GVBDO↑
神経の治療の際に必要不可欠なラバーダム

2)最低2時間のアポ

(専用の治療器具や体に優しい

洗浄剤を使い神経を歯の根の中から

完全に除去するため)

 

3)治療回数は最低2回、最高でも5回

(細菌感染防止・根尖病巣除去のため)

 

4)治療期間は1週間以内で終了

することが理想的(細菌感染防止のため)

 

となっています。

 

この条件で治療をすれば完治するのは

G.V. BLACK DENTAL OFFICEで過去25年の

データからも明らかです(再治療はゼロ)

 

翻って、現在の日本のホケン治療では、

 

1)ラバーダムはしない(細菌感染拡大の可能性大)

 

2)10分くらいのアポ(神経を完全に

取らない状態でヒ素などの劇薬を使い

神経を殺す試みをするが失敗の可能性大)

 

3)ホケンの治療では何回も

来てもらわないと採算が取れないため、

治療回数は最低でも10回以上

(細菌感染拡大し根尖病巣除去はできない)

 

4)治療期間はホケンの慣例や

システム上月に決められた数回しか

治療できないため数週間に及ぶ

(細菌感染・根尖病巣拡大の可能性大)

 

5)神経治療のホケン点数が

手間がかかる割には低く、

歯医者さんにとって

儲からない治療なので、

歯医者さん自身がまじめに

やろうとしない

(成功の可能性がもともと低い)

 

という結果になるので、

神経は完全に取れず、

細菌感染の可能性も高く

神経を取ったのに歯が痛い!

という現象が日本では

起きているのです。

 

このような歯を放置した場合は、

免疫力が低下すると

我慢出来ないくらい

痛くなりますから、

近医に行くと、

痛み止めや抗生物質などの

薬で一時しのぎを薦められます。

 

しかし、それにも限界がありますから、

いずれ神経の再治療を行いますが、

前述の通り治らない方法なので、

3回も4回も神経の治療を繰り返すと

歯質はそのたびに削られ

構造的に弱くなり歯根破折などが

起きて修復不可能になってしまい、

最後は抜歯の運命が待っています。

 

しかし、

そのようにしたくない人への

解決方法は簡単で、

アメリカ歯科標準治療のような

「90%以上の確率で治ることが

約束された神経の治療」を、

歯が修復可能な状態の時に受ければ、

必ず痛みとは決別でき、

歯も一生健康なまま

機能するようになるので、

早期の受診をすれば大丈夫です。

 

それでは具体的に、

神経の手抜き治療により、

歯根の中で細菌が繁殖した場合、

どのようなことが起こるか

20代女性Tさんの症例で説明します。

 

Tさんが初診で来たとき、

慢性的な歯痛がある歯の歯茎には

おできのようなものができていました↓。

画像:神経を抜いた歯がうずきフィスチュラができた様子
神経を抜いた歯がうずきフィスチュラができた様子

この部分から排膿(ウミが出る)

していたのですが、

これは明らかに神経を完全に

取っていなかったために、

歯根の中で取り残された

神経が腐敗し、細菌が繁殖して、

それが根の先から歯槽骨に出て

根の先に病巣(根尖病巣)を作り上げ、

そこで膿をどんどん製造し、

爆発するくらい大きくなり、

骨を突き破り、歯茎も突き破って、

排膿していたのでした。

 

それが毎日の様に起こるので、

歯茎にはおできが出来て、

フィスチュラと呼ばれる

排出口まで出来ていたのです。

(詳しい解説は↓)

 

ガタパーチャポイント

(ゴム製の縫い針の形をしたもので、

根管治療に用いる)を刺してみると

どんどん中に入りました↓。

画像:フィスチュラの様子を観察する方法
フィスチュラの様子を観察する方法

ガタパーチャの先は歯槽骨の内部

3cm以上の深さに到達しています↓。

画像:瘻孔フィスチュラの観察レントゲン
瘻孔フィスチュラの観察レントゲン

このガタパーチャの先が

到達して止まった所が、

根尖病巣のある位置なのです。

 

レントゲンを撮ると

ガタパーチャの方向から

#5の根尖に大きな病巣が

あることがわかります。

 

このような状態の歯が

1本あるだけで普通の人なら

口の中に違和感を感じるのは勿論、

慢性的な鈍痛により

倦怠感を感じたり、

疲れやすくなり、抵抗力が落ちると

激痛に襲われるので、

元気に暮らすことは不可能になります。

 

ちなみに、このTさんの#5は適切な

RCTを行えば十分に復活は可能でしたが、

矯正を行う都合上、抜歯となりました。

 

矯正の抜歯の対象となる候補は

小臼歯ですが、どの小臼歯を抜くかは、

歯が受けているダメージの

程度で決まるため、Tさんの場合は

#5が対象になったのです。

 

この#5の根尖にはっきりと

根尖病巣を形成している

肉芽腫の一部が付いています↓。

画像:小臼歯の根の先にできた根尖病巣
小臼歯の根の先にできた根尖病巣

フィスチュラが出来ている

歯の根の先には、

この写真にあるような

肉芽腫が出来ており、

それは抗生物質をどれだけ

飲んでも大きくなることはあっても

消えて無くなることはないため、

一時的に痛くなくなっても、

必ずまた痛くなり、

それは抜歯するまで続く!

ということになるのです。

画像:小臼歯の根の先にできた根尖病巣
小臼歯の根の先にできた根尖病巣

もしTさんが

G.V. BLACK DENTAL OFFICEに

たどり着くことがなく、

レベルの低い歯科治療を

受け続けていたとすると、

この#5は矯正のための抜歯ではなく、

単にホープレスになって

いつかは抜かれる歯になったのでしょう。

 

次に、他の症例で

レントゲンのチェックの

仕方を紹介します。

 

繰り返しますが、

好い加減な根管治療された場合、

慢性的なうずくような痛みがあります。

 

繰り返しますが、

これは神経を完全に

除去していないため、

歯根内に残った神経が

腐敗していく課程で、

バイ菌の繁殖による病巣の

形成が歯槽骨で起こるためです。

 

それが1ー2年ほど続いた場合、

レントゲン撮影をすると病巣が

認められるようになりますが、

小さなものですから、

それを発見出来る人は

歯医者さんが100人いたら

1人くらいでしょう。

 

このステージでは免疫力の落ちた時、

つまりストレスが溜まったときとか

睡眠不足のときに

シクシクした痛みを感じます。

 

それが5年ほどつづくと

100人のうち30人が

認められるくらいの

病巣が出来てきます。

 

もっとわかりやすく

レントゲン上で白く映る薬を

病巣に入れてやると、

骨の吸収されている状態を

知ることができます。

 

このステージの病巣は

その形から「ヒアシンス」と

インディアナ大学では

呼ばれています↓。

画像:ヒアシンスと呼ばれる根尖病巣
ヒアシンスと呼ばれる根尖病巣

進行したヒアシンス状の病巣↑

 

「散弾銃で打った銃創のような形」↑

と表現する人もいます。

 

このステージでは、通常の場合、

痛みは耐えられるものであり、

生活にはさしさわりがない

ことが知られています。

 

しかし、抵抗力の落ちた時、

つまり重度のストレスが溜まった時や

極度の睡眠不足のときには、

我慢できないずきずきした痛みを

感じることがあります。

 

また、膿がではじめるのもこのころです。

 

「ヒアシンス」がさらに悪化していくと、

100人のうち50人が認められるくらいの

「腎臓豆(Kidney Beans)」と

呼ばれる病巣が現れてきます↓。

画像:「腎臓豆(Kidney Beans)」と  呼ばれる病巣
「腎臓豆(Kidney Beans)」と 呼ばれる病巣

2つの腎臓豆状の病巣が認められる↑  

 

これは「ヒアシンス」では、  

歯槽骨内の無数にある  

小さな部屋の壁を  

部分的に破って  

つながっていた病巣が、  

「腎臓豆」では部屋自体を  

壊して繋がったために、  

大部屋になってしまったからです。  

 

この「腎臓豆」にまで  

到達してしまうと、  

慢性的な激痛と排膿  

がはじまります。  

 

この時期がしばらく続くと、  

こんどは歯茎を突き破って、  

膿が外部に出るようになり、  

慢性化すると  

フィスチュラとよばれる  

瘻孔(歯茎に穴が開く)  

を形成し、病巣と外界が

貫通する自体が発生ます。  

 

こうなると病巣に  

バイ菌の供給が無限になり、  

歯の悪くなる  

速度は早くなりますが、  

穴が開いているということで  

根尖病巣内の気圧の差から生じる  

痛みを感じなくなり、  

慢性化していても痛くない  

場合が多くなります。  

 

しかし、  

痛くないから治った  

というわけではなく、  

歯と歯槽骨の破壊は  

日々進行してゆき、  

病巣のサイズは  

信じられないような  

大きさになってゆきます。  

 

ちなみに  上の奥歯や前歯に  

このような病巣ができていると、  

蓄膿症(歯性上顎洞炎)  

になることが知られています。  

 

そして、  

睡眠不足やストレスで  

抵抗力が低下したような場合に、  

排膿とともに激痛がおそってきて、  

それは我慢と忍耐の限界を  

はるかに越しているため、  

日本の歯医者さんが  

抗生物質と痛み止めを  

せっせと処方したとしても、  

効き目はゼロですから  

結局は抜歯することになります。  

 

しかし、  まだこの時点であれば、  

Evidence Based Medicine  (EBM)に

基づいた  アメリカ歯科標準治療で  

RCT(Root Canal Treatment)と  

呼ばれる神経の治療を  

受けることができれば  もう一生大丈夫!  

になる確率は90%以上  になります。  

 

ちなみに  

G.V. BLACK DENTAL OFFICE  

の神経の治療に限定すると  

開業以来約20年の間では

100%の確率です。  

 

ポイントは、  

日本では当たり前の、  

ヒ素など体に有害な薬は使わず、  

洗浄剤と専用の  

器具だけを用いて行う  

 

(1) 根管内の完璧な機械的清掃  

(2) ガタパーチャを使った完璧な根管閉鎖

 

の2点です。  

 

具体的に説明します。  

 

このRCTでは1回の  アポイントメントに、  

完全なラバーダムを使った  

バクテリアフリーの環境で  

根管内の完璧な  

機械的清掃をするためには、  

2時間から4時間かかります↓。

画像:神経の再治療に必要不可欠なラバーダム
神経の再治療に必要不可欠なラバーダム

難しい症例でも

3回のアポイントメントを、

1週間以内で終わらせなければ

理想の治療とはいえません。

 

そして、 最後に、

歯の中に細菌が根尖から

入り込まないように、

完璧なシールとなる 根管封鎖を、

ガタパーチャをコンデンス

して終了となります。

 

日本で日常的に行われている

レベルの低い歯科治療では

ラバーダムは全くせず、

アポイントメントは5分で

10回も20回も通わせ、

延々何カ月にも 及ぶことがあります。

 

まるでバイ菌を

歯の中にわざと入れる

ために行っている

ような行為です。

 

ガタパーチャも、

形だけ詰めてあるだけで、

コンデンスなどされていない

隙間だらけの状態のため、

根尖から細菌が

歯の中に入り込んでいます。

 

従って、 レベルの低い

根管治療をされた歯は、

歯の中でバイ菌が

繁殖する状態になり、

根尖病巣が常に

拡大している状態になるため、

永遠に痛みから

開放されることは

なくなるのです。

 

そして、

最後は上で述べたように、

抜歯されるという運命

が待っています。

 

これからお見せする

2つの症例は

インディアナ大学で

私が担当した症例です。

 

アメリカでは病巣が

ここまで大きくなり、

歯槽骨に洞窟のような

大きな穴が空いた状態

なったのはめずらしかったのです↓。

 

画像:手術が必要が根尖病巣
手術が必要が根尖病巣

症例1明らかな手抜きによる  RCTから発生した前歯部の病巣↑  

画像:手術が必要が根尖病巣
手術が必要が根尖病巣

症例2 臼歯部における病巣↑。  

シルバーポイントの根が原因になっている↑。

 手術の方法の動画↑

 

 しかし、  

日本ではありふれているらしく、  

日本の歯医者さん二人に見せたら、  

二人とも口裏を合わせたように  

「こんなのよくありますよ。  

抜いちゃいますよ。」  

と言ったのにはまいりました。  

 

そうなのです。  

 

日本には、  

アメリカでは滅多にない  

重症の神経の治療を必要とする歯が、  

レベルの低い歯科治療のために、  

蔓延しているのです。  

 

そして、  

アメリカなら適切な手術により  

治る可能性のある歯を、  

日本では抜いてしまうのです。  

 

また、  

私が日本で臨床を  

していて感じるのは、  

簡単なやりなおしの  

RCTをすれば治る歯に、  

不適切としか  

思えないようなエピコなどの  

外科的根管治療をして、  

結局は抜歯になっている  

ケースが多すぎるのです。  

 

従って、

インプラントと同様、  

歯を一生残したいと思う人は  

外科的根管治療は、  

絶対に避けなければ  

ならない治療行為なのです。  

 

多くの日本人の  

デンタルIQがあまりにも  

低すぎるがために、  

レベルの低い歯科治療をされ、  

その結果、痛い思いをし、  

苦しんで、挙げ句の果ては、  

抜歯されている  

現在の歯科医療の状況は、  

誰がどう考えても  

納得できないものであり、  

そのような  現状を打破するために  

アメリカ歯科標準治療が  

日本全土に  

広がることを祈るばかりです。  

 

04/04/98  

01/17/20 updated  

Norman Yamazaki, DDS.