親知らずとオープンバイト


YouTube・22才Ken津島中の出っ歯と

顎関節症を治す歯列矯正↓

28才のOLです。

 

顎関節症でプレートの治療を1年ほどしているのですが、良くなるどころかますます顎の位置がおかしくなり、プレートをしている時は良いのですが、プレートを外すと、なぜか、オープンバイトになり、奥歯も噛み合わなくなってきたのです。

 

ネットで検索していたら、オープンバイトが親知らずを抜くと改善した!という体験談があったのですが、親知らずを抜くだけで、そんなに簡単に治るのでしょうか?

 

ちなみに、私も親知らずは生えています。

大炊御門徳子

 

結論:

 

親知らずを抜くだけで顎関節症が改善することはあります。完治させるのであればさらなる治療は必要です。

 

説明:

 

症例によっては改善し、さらなる治療で治ります。

 

理由は以下の通りです↓。

 

最近のオープンバイトの症例は、質問者の方のような、顎関節症の治療のためにプレート療法を受けた人が多くを占めています。

 

顎関節症治療用の硬いプレートを1年以上の長期間使用した場合、プレートは第二大臼歯までしか、カバーしていないため、上顎に生えている親知らずが下がってきて、プレートを取ると、頬の肉に直撃し、奥歯がキッチリ噛み合わなくなり、オープンバイトになることがあるのです。

 

そうなると、こんどは第二大臼歯も動き始め、噛み合わせはどんどん狂い始めます。

 

28才OLのウッチーの症例で説明します。主訴は顎関節症とオープンバイトでした。

 

初診で来た時の様子です↓。

12/01/99 初診時の様子↑

 

約1年間、第一大臼歯までをカバーするプレートを週刊誌に登場する名医で製作し、付けていました。治療前はそうでなかったのに、現在は、明らかにオープンバイトです↑。

 

パノラマレントゲンを観察します↓。

白い矢印で示した親知らずの2本は、どう見ても頬の肉を直撃しています。

 

咬合の改善うんぬんという以前に、この親知らずは、対合歯もなく、残しておく理由がないので抜歯します。

 

親知らずを抜いただけで、1.5mmあった上下の前歯の隙間が1mm程度までになりました↓。

12/18/99 #1,16 抜歯から1週間後の様子↑

 

噛み合わせの高さが、0.5mm変わったというのは、歯科医療の世界では大幅改善ということになります。

 

現に、ウッチーは、奥歯でしっかり噛み合うようになったと大喜びでした。

 

駅前のコンビニ歯医者の治療ならば、ここまでやればOKなのかもしれません。

 

しかし、まだオープンバイトです。

 

第二大臼歯に問題があるのです。

 

顎関節症が治ったという保証もありません。

 

では、もう2度と歯で悩まない人生を約束するアメリカ歯科標準治療では、次に何をするのでしょうか?

 

この先1ヶ月間に行う治療は以下の2つです。

 

・今まで変な位置関係にあった筋肉のバランスを治す

 

・その後、咬合調整をするということを行います。

 

筋肉のバランスを治すためにはNGを使用し、筋肉のバランスが良くなったと判定できた段階で咬合調整(OA)を行います。

 

咬合調整は、Evidence Based Medicine(EBM)に基づいたスタンダードな方法で行います。

 

今回のウッチーのケースは、1ヶ月のNG装着で、筋肉のバランスが改善したので、咬合調整は、奥歯の3本の歯を、少しだけ削るということで完了しました。

 

すると、オープンバイトは完治しました↓。

01/08/2000 OA直後の様子↑

 

この段階でのウッチーは、顎が中心位で閉じたとき、全てが当たるようになり、小臼歯も前医の不適切な硬いスプリントで摩耗してしまった歯以外は当たるようになりました。

 

顎を開閉すると、カチカチと奥歯の当たる澄んだ良い音のするようになり、咬合調整が完璧に行われたと言うことを表しています。

 

ただし、これでも将来において、顎関節症が再発する可能性はあるので、アメリカ歯科標準治療では、この後に歯列矯正を行い、2度と顎関節症にならない噛み合わせを、完成させる治療を行います。

 

従って、今日の質問への回答は、親知らずを抜くことで、オープンバイトをある程度までなら改善できる可能性はあるが、顎関節症が再発する恐れがあるので、再発を防ぎたい人は、Evidence Based Medicine(EBM)に基づいた予防的な治療を、さらにしなければならない!ということになります。

 

09/30/00

03/25/18 updated

Norman Yamazaki, DDS.