歯科用アマルガムの基礎知識


【アマルガム修復】

あまるがむしゆうふく

amalgam restoration

《同:アマルガム充填 amalgam filling》

成形修復材料であるアマルガムを使用した修復.

〔分類〕歯冠部の寓洞にはBlackの定めた分類があり,

アマルガム修復もそれに合わせて

I級からV級までに分類される.

〔方法〕修復方法については,

症例によっていろいろなステップがあるが,

その大要を示す.窩洞形成の完了後は,

寓洞の位置,大きさによっては

ラバーダム防湿を行う.

合金を選択し,

定められた混汞比(アマルガム練和比)で

機会練和を行う.

アマルガム輸送器で

アマルガム泥を寓洞に輸送し,

アマルガム充填器で十分に圧縮する.

このアマルガム泥の輸送と

充填器による圧縮を交互に反復し,

歯面よりもいくぶん過剰に填塞する.

その後,バーニッシャーによって

修復物の形態の修正を兼ねつつ,

辺縁のバーニッシングを行う.

ついで,適切なアマルガムカーバーによって

歯面の形態を考慮しつつカービングを行う.

ラバーダムを撤去し,咬合調整を行い,

患者を帰宅させる.

次回来院時に,修復物面を観察し,

とくに異常がなければ

形態修正からつや出しまで

一連の研磨操作を行い完了とする.

〔適応〕すべての種類の寓洞に

使用することが可能である.

しかし,

臨床にはほかにも特徴ある修復法があるので,

適応としては咬合面のI級寓洞など,

外見に触れない単純寓洞である.

〔副作用〕修復物面のくもり,

変色のほかはほとんどない.

異種金属と接触するとガルバニー電流が生じ,

ときに激痛を生ずることがある.

また,

環境に及ぼす水銀汚染の

危険性にも配慮が必要である.

〔予後〕本修復法の欠点は,

二次齲蝕の発症頻度が

ほかの修復法に比して高いことである.

この原因として,

術者が窩洞形成を含めて

アマルガムを安易に扱うことがあげられているが,

材料面からみても本材は

口腔環境内で腐蝕されやすく,

また操作面からも辺縁の

オーバーフィリングをすべて

修正できないので,

二次韻蝕の誘因となる辺縁の小破折を

避けることはできないとする

考え方もある.

(小野瀬英雄・歯科医学大事典p74)

 

【アマルガム修復(乳歯の)】

あまるがむしゅうふく(にゅうしの)

amalgam restoration 

乳歯の歯冠修復材としてのアマルガムは,

ほかの修復材に比べて高頻度に応用され,

全修復材のうちアマルガムは

約80%を占めるといわれている

(MCDonald,R.E.,1983).

近年コンポジットレジンの

臨床応用が高まっているが,

耐摩耗性にいまだ弱点があり,

永久歯における永久充填材としては,

十分に受け入れられていないのに対して,

150年の臨床応用歴を有する

アマルガムにはさまざまな特徴がある.

〔利点〕

(1)填塞操作が簡単である.

とくに,球状アマルガムでは填塞圧が比較的低く,

填塞時間が短縮できる.

(2)成形充填できる.

1回のアポイントメントで充填まで完了し,

多数歯の1回治療に適する.

(3)適応範囲が広い.I,II,V級および複雑寓洞.

〔欠点〕

(1)操作が簡単なため安易に用いられる.

二次韻蝕の発生率が高い.

(2)縁端強度が弱い.辺縁破折が多い.

(3)金属色.腐蝕,変色しやすい.

〔適応〕

(1)乳臼歯の咬合面と頬舌面にわたる鎬蝕

(I級およびI級複雑罵洞).

斜走隆線や連合隆線が発連していて,

齲蝕が限局している場合には

咬合面窩洞も別個のII級窩洞とする.

(2)乳臼歯の咬合面と隣接面にわたる齲蝕(II級窩洞).

側室歯肉側壁は小柱走向が歯頚部でも

歯冠頂側に傾いているので,

窩縁斜面付与の必要がない.

(3)乳臼歯の歯頚部齲蝕(V級窩洞).

〔合金末の選択〕硬化が早く,

填塞圧が少なくてすむ球状アマルガムで

遅発膨張のない無亜鉛合金の,

分散強化型のものが好んで使用されている.

〔填塞法〕原則として永久歯の場合と同じである.

〔臨床でみかける失敗例〕裂溝追及不十分.

遊離エナメル質の取り残し.

マトリックスの不使用.窩洞峡部の狭すぎ.

辺禄部の仕上げ研磨不十分.

ウェッジ不使用のためのオーバーハング.

(今西孝博・歯科医学大事典p75)

 

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